【熊本のいま vol.3】神に祈りを自然の恵みに感謝を〜 阿蘇神社権禰宜 内村 泰彰氏インタビュー~

防災ガールの大塚です。

神社仏閣は、古く昔より、地元のひとの心の拠りどころでした。
しかし、熊本では先般の震災によって、熊本城や阿蘇神社も甚大な被害を受けました。被害状況を知って心を痛めた方も多いかと思います。

今回私たちは、阿蘇神社の神事への参加、地元の方々との会話などを通じ、阿蘇の現状とこれからを知り、考える機会をいただきました。
神事が終わった後、阿蘇神社の権禰宜(ごんねぎ)でいらっしゃる内村 泰彰(うちむら ひろあき)さんから、お話を伺うことができましたのでご報告します。

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阿蘇神社権禰宜 内村 泰彰(うちむら ひろあき)さん

 

 

――震災があった当日の状況を教えていただけますか。

内村さん:4月14日の晩は当直だったのですが、16日は自宅にいました。部屋の中が回転していると思うほど揺れはすさまじく、この世の終わりかと思うほどでした。最初は直下型の衝撃があり、その後横揺れが長かったと思います。ただごとじゃないと思い、車に飛び乗り阿蘇神社へ向かいました。楼門、拝殿の様子を目の当たりにした時は、言葉を失いました。

 

――4月の発震から約3ヶ月強、現在の阿蘇神社の復旧状況、計画についてはいかがでしょうか。

内村さん:楼門は指定物件、拝殿は未指定物件なんです。つまり、楼門は国からの補助がいただけるけれど、拝殿は自分たちで復旧をしなければならない。楼門については復旧へ向け話し合いを進めている最中ですが、拝殿はなかなか進められていない状況でもあります。

特に今回は、地震による被害で地盤が歪んでいるため、単に建てたとしても、次にまた災害が起きたときに大丈夫なのか、という心配があります。建造物は地盤あってのものですから、関係の方々と現在も話し合いは続いているという状況です。

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――復旧に向けて、10年以上、20億円ほどが必要だとうかがったのですが。

内村さん:そうですね。復旧まで、楼門は7〜8年、拝殿その他被害を受けた建造物を同時におこなったとして10年ほど必要だろうと言われています。あくまで目処であって、工事を進めるにしたがって、正確な数字になってくるとは思います。

私たちも苦しい状況ではありますが、村や町にあるほとんどの神社仏閣は未指定物件のため、さらに大変な状況です。被害が大きい神社もありますが、地域の方々も被災されているため、自分たちが大変だとは言えない、それどころじゃないという声を聞いています。もちろん地域の声の中では、心のよりどころであるので早く復興してほしいと言われますが、実際のところ、なかなか実情を言えないというのが現状です。

 

――本日の神事で商店街を巡る中で、商店街の方々の団結心を感じました。ここに至るまで、どのような調整があったのでしょうか。

内村さん:阿蘇神社門前の商店街の方々は、震災後も独自のネットワークを活用し、みなで団結しすぐに動かれていて本当に素晴らしかったです。平成24年の水害、噴火を経験し、近いものでは今回の地震が3回目の大規模災害でした。それでも商店街や地域の方々は、いつも団結して連携され復興へ向かっています。

災害による人の心の痛みは数値化できません。同じ地域であっても、痛みの重さは人それぞれです。阿蘇神社周辺の方々は、「お宮さんがあったからこれくらいで済んだ」というようにも言ってくださっていて、前向きに捉えてくださる姿勢に本当に有難く感じています。

 

――今年の御田祭の開催、やるかやらないか迷われたことはありますか。

内村さん:迷ったことはありません。神事は神に対する祈りであり、イベント等とは異なります。ですから、神事は何があっても斎行します。もちろん、行列の道が断絶している、氏子さんが大変な状況、などがあれば神幸行列等については考慮しなければなりませんが、今回の懸念は阿蘇神社の被害だったので、迷いはありませんでした。

 

――御田祭を終えて、いまの率直なお気持ちを聞かせてください。

内村さん:何より、事故がなく終えられたという安心感が強いですね。そして、みんなやってよかったという顔をされていたので、それが一番です。崩れてしまった拝殿の代わりに急遽1ヶ月間で建設した仮拝殿も間に合い、ほっとしました。

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――準備期間、色々と気苦労もあったかと思いますが、なかでも一番大変だったことは何でしょうか。

内村さん:氏子さんたちの気持ちをまとめることでしょうか。神輿をかつがれる方たち、受付をお手伝いいただく方々と、私たちだけでなくたくさんの方が関わって成り立っているのが御田祭です。なかにはきっと「今はそれどころじゃない」という方もいらっしゃったかもしれません。それでもご協力いただいて、こうして無事に終えることができ、心から感謝しています。

神社の神事は、常にやり続けなければならないものです。特に神社は、自然と向き合ってきた信仰なので、良い時も悪い時も、「常に神に祈りを捧げて自然の恵みに感謝する」というのが大切なこと。地震があったことでやめるのではなく、地震があったからなおさら祈り、神々と自然に鎮まってもらわなければならないのです。神社が動くことで、地域のお祭りも続けることができる。われわれは率先してやっていく義務があると思っていますし、そうしていきたいと思っています。

 

――引き続き楼門、拝殿の復旧活動が進められると思いますが、熊本県外や、世界の人たちへ伝えたいことはありますでしょうか。

内村さん:まずは神社のことをよく知っていただけること、情報を拡げていただけることが大変有難いです。そのことが、復興の一助になると思っています。今はだいぶ少なくなってしまいましたが、報道などで阿蘇神社のことを知り、援助したいと申し出ていただける方もいらっしゃいます。

 

「現場にきて何かしたい」というお声も、そのお気持ちが嬉しいですが、楼門、拝殿含め現状このような状況ですと、なかなか現場でのお手伝いをお願いするのも難しいというのが本音です。現状を正しく知ってもらえるためのお手伝いをしていただけることが、今は何より一番有難いかもしれません。

 

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今回、内村さんのお話を聞き、神社の存在がそこに暮らす人たちの心の拠り所であること、神事をきっかけに、地域の方々が声を掛け合い繋がっていくということを実感しました。

 

皆さんには、ぜひ機会を見つけて阿蘇を訪れていただきたいです。また、下記のような媒体を通じて現状を知り、それを拡げていただけることが、現地の方々のパワーにも繋がっていきます。報道が減りつつある今ですが、熊本はまだまだこれから前を向いて動いていきます。

 

内村さん、今回は本当に有難うございました。そして、ご縁を繋いでくださった阿蘇神社ボランティアの中島昌彦さんに心から感謝しています。有難うございました。

 

内村さんと筆者。お疲れのところ取材対応有難うございました。

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<阿蘇神社情報>

▶︎ 公式ホームページ:http://aso.ne.jp/asojinjya/

▶︎ 公式Facebook Page:https://www.facebook.com/asojinja/

▶︎ Yahoo!Japanネット募金:
http://donation.yahoo.co.jp/detail/5066001/

▶︎ 復興支援動画:
動画を再生していただければ、1再生につき0.1円ほどの奉賛金(募金)が行えます。再生をしていただくだけで、復旧の貢献をしていただけますので、皆さまにはぜひ拡散をお願いできれば幸いです。

 

#1【阿蘇神社 -社殿復旧に向けて】

 

#2【みやがわ時計店 店主 宮川幸二さん】

 

#3【料理旅館つるや 若女将 工藤亜貴子さん】

 

文責:大塚智子

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