もっと防災をオシャレでわかりやすく

【熊本のいま vol.6 】「今在るものを良くしていく」ということ~門前町商店街わきゃもん会 杉本真也氏・宮本博史氏インタビュー~

震災から5ヵ月。第四回目の支援となった今回の熊本訪問では、「熊本の今」をみなさんにお伝えすることもひとつの使命だと考え、前回訪問時から引き続きいろいろな方へお話を伺いました。

第6弾は、阿蘇一の宮門前町商店街若きゃもん会・阿蘇とり宮代表の杉本真也さんと郷土料理そば処阿蘇はなびし代表の宮本博史さんにインタビューをおこないます。

 

 

1

 

――お昼前のお忙しい時間にすみません!よろしくお願いいたします。
杉本:よろしくお願いします。
宮本:お願いします。

 

――今、阿蘇神社からこちらへ歩いてきたんですが、すごくオシャレな商店街で驚きました。看板や街並みが統一されていて、サイダーの瓶の置き方ひとつもすごく写真映えするなと思って!フォトジェニックです!
杉本:そうですか?(笑)ありがとうございます。

 

3

 

――ここはずっと前からこんなに素敵な雰囲気なんですか?
杉本:昔は本当に廃れていましたよ。今はやっぱり、日本のどこでも商店街がなくなっていく時代です。阿蘇に来てくださる観光客のうち、ほとんどが商店街には足を運ばないといわれていて。来ていただいた人たちも、阿蘇神社の参拝をして15分くらいで帰ってしまうような状態でした。20年前の熊本日日新聞に「消えゆくともしび」というコラム企画があったんですが、その中で商店街についてもとりあげられたりしてね。
――今の状態からはとても考えられないですね…。
杉本:昔はバブルの時代ということもあって、熊本の綺麗な水や山や川なんていうものには価値を置かれなかったのかもしれません。それが最近ではそういった天然のものや自然にも価値が見いだされるようになって、下手に海外へ行くより日本の良さを見つけ出そうという風に雰囲気が変わってきたなと。
――そこで、こんな風に改革しよう!と景観の統一などを始められたということですか?
杉本:いやいや。私たちは何も決めていませんよ。(笑)

 

5

 

――えっ!?そうなんですか?
杉本:はい。看板とか、インテリアとか、そういうものも各店がそれぞれ勝手にやっているだけで、商店街全体で「こうしよう」みたいなことは特に決めていません。
宮本:各々勝手にね、「あの店流行ってるなー」っていうのを観察して、盗むんですよ。みんな商売人ですから、自分の店だってもっとよくしてもっと人に来てもらいたいと思うのが自然でしょう。
だから、何も「こうしよう」なんて決める必要はないんです。それぞれが、「自分の店をよくするにはどうしたらいいか?」って頭を捻る。そうしたら勝手に統一感みたいなものも出るのかもしれませんね。ひとつ奇抜なことをやったって、商店街という全体で見たら浮いてしまって「ダサいな」となりますから。(笑)

 

8

 

杉本:そうそう。商店街が廃れる中、場所を移転するお店もあったりしますけれど、私たちは移転する余裕もないし、そもそも今ここに既にあるんだから、だったら「今この場所を自分たちの手でどうにか良くしていった方がいいじゃないか」という考えに至ったんです。そうしたら、気づけば1.5倍くらいの方に来ていただける場所になりました。

 

9

 

商店街の一番の敵は自然災害かもしれない

――徐々に盛り上がりを見せていた中で、4月に起こった熊本地震。震災の影響はどうでしたか?
宮本:お客さまは7割減といった感じでしょうか。直後なんかは営業もできませんでしたから、商店街で商売をする者としてはもう先のことは何も考えたくないと思うくらいには不安でしたね。
杉本:地震が起こって、商店街を守る前に家を守らないといけなくなりました。こういう仕事をしていると一日一日の売り上げが自分たちの生活に直結しますから、かなり深刻な状況で。商店街の一番の敵は大型チェーン店やコンビニなんかじゃなく自然災害かもしれないなと思いました。

 

10

 

――商店街の機能が戻ったのはいつ頃ですか?
杉本:発災から5日くらいで電気がきたので、10日後には復旧していたかなと思います。その間もプロパンガスなので火は起こせるし、商店街だから食材も器具もある。物流が止まって出荷できなくなってしまった農家さんからの食材の差し入れなんかもありました。
私たちは消防団にも入っているんですが、安否確認に一戸一戸回るのは結構な手間でしょう。だからもう、「ご飯作るからみんなおいでー!」って呼びかけて集まってもらったり。(笑) 厳しい状況のときにマイナスになりすぎても仕方がないし、被災して飢えを凌いでいたというよりも、みんなで集まってわいわいとキャンプをするような感覚で震災後の日々は過ごしていました。
宮本:被害額やこの後に待つ借金を考えると憂鬱でしたが、皆とのキャンプみたいな生活はちょっと楽しかったですよ。(笑)
杉本:それこそ、阿蘇は亡くなった方がいなかったので。益城町のように甚大な被害があったらまた違っていたとは思います。

 

11

 

――なるほど。他に、震災に関連して変わったことや印象にあることはありますか?
杉本:物資が大量に届くなか、それを配るときにやっぱり不平不満が出たり、必要以上に多くもらっていこうとする人がいたりもして。でもあぁいう状況下で「そんなに要らないでしょう」なんて、思っていてもなかなか言えないんですよ。そういう行為にいちいち気を揉んでいると、やっぱり疲れました。
宮本:だからね、「そういう人には好きなだけ持っていかせればいい」って私は言っていました。家の中がいっぱいになったらどうせもう持っていけなくなるでしょう。(笑)
ルールを守ること・守らせることも大事ですが、皆さんのおかげで物資は続々と届いていましたし、だったら精神衛生を保つ方がよっぽど大切です。気にしすぎると本当に疲弊しますし、物資をためこんでおいて腐らせても仕方がない。うちの地域では、配れ配れ!ってどんどん配布するようにしていました。

 

12

 

杉本:他に地震の影響というと、水基巡りの水が三か所止まってしまったことですかね。湧き水も自然のものなので、自然災害が発生するとこういう弊害もあるんだなと思いました。

 

14

 

自分たちの手でデザインした町で、帰ってきたくなるようなこれからを。

――今、私たちのような県外の人にもできるお手伝いや支援の形はあるでしょうか。

15

 

杉本:災害ボランティアのようなものとは離れてしまいますが、今はとにかく働き手が不足しているので、スタッフになってくれる人が欲しいのが本音です。この辺には大学もなくて、学生バイトもほとんど見込めません。
ここに来ると、自分たちの手で町がデザインできるんです。そこを面白いなと思って、ここだから働きたいといって来てくれる方がいたら最高にうれしいですね。これから少しずつ受け入れる体制も整えていって、寮付きで働ける環境も整備していこうかなと考えています。

宮本:あとはふつうに観光客として、商店街へぜひ足を運んでほしいです。震災の影響で、今はどこの店も必死に取り戻そうと画策していますが、やっぱりまだまだ。最初はどこかひとつのお店目当てでもいいです。店先で並んでいる間に、「あ、あそこにも行ってみよう」と思える場所が必ず見つかると思うので。

 

――これから先、どんな商店街、町にしていきたいというビジョンがあれば教えてください。
杉本:地震があって、この町を離れていった人もたくさんいましたし、公費が出るならもう店も壊してしまおうといって空き地になってしまった場所もたくさんあります。だからこそ、この商店街を盛り上げていくことで、その人たちも思わず帰ってきたくなるような場所にしていきたいですね。
宮本:ここのいいところは「つながり力」。表面じゃなくて根っこでつながっているんです。ご高齢の方もたくさんいらっしゃいますが、「おじいちゃん、今日の気分はどう?元気にしてる?」なんて優しい声で話しかけたりは決してしませんよ。(笑)
年齢立場関係なくブラックジョークを飛ばし合える、本気でライバル視しながらも本気で腹を割って話し合える、そんな距離感が気持ちいいなと思っています。私たち、お互いの売り上げも知ってますからね。(笑)だからそういう雰囲気は残して、張り合いながら盛り上げていきたいです。

 

18

 
まさに「悪友」といったような、男同士の友情が垣間見える最高に格好良いお二方。
インタビューの間にも、ふだんの関係性があればこそ、いざという時にも力強く団結することができるんだなぁということを実感するようなシーンが何度もありました。

 

 

最後に阿蘇とり宮さんの名物、熱々さくさくの「馬ロッケ」もしっかりいただいて、貴重なインタビューの時間を終えました!

 

19

 

20

(注文を受けてから揚げるのでアツアツサクサク!)

 

杉本さん、宮本さん、そしてお二人をご紹介してくださった阿蘇神社災害復旧事業広報担当の中島昌彦さん、本当にありがとうございました!
震災を乗り越えて、これからもどんどん素敵になっていくに違いない一の宮門前町商店街。
皆さんもぜひ一度、「自分の手でつくる町」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

 

k61

 

 

【阿蘇とり宮】

公式HP:http://torimiya.com/
公式Facebook:https://www.facebook.com/asotorimiya/

 

【郷土料理そば処阿蘇はなびし】

公式HP:http://www.aso-hanabishi.com/
公式Facebook:https://www.facebook.com/asohanabishi

Pocket

人気の記事

Copyright © Bosai girl All rights reserved