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【熊本のいま vol.8】熊本の「あの頃」と「今」のリアル~防災ガールNo.042ここみインタビュー~

震災から5ヵ月。第四回目の支援となった今回の熊本訪問では、「熊本の今」をみなさんにお伝えすることもひとつの使命だと考え、前回訪問時から引き続きいろいろな方へお話を伺いました。

 

 

防災ガールとして一緒に活動をしていたメンバーの中にも、今回の熊本地震で被災した女の子がいます。

熊本市内の大学へ通う大学院生・ここみ。

第8弾は、発災当時リアルタイムで情報をシェアし続けてくれた彼女に、改めて震災当時のことと今の状況についてを教えてもらいました。

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専門家でも何でもない「防災ガール」だったからできたこと

発災当時、わたしたちは彼女からリアルタイムで現地の状況を共有してもらい、SNSで情報を発信することができました。当時、安否確認の後に「もしも可能であれば…」と情報共有のお願いをしたときの、「私にできることであれば何でもやります」という彼女の力強い言葉が、今も記憶に残っています。

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(発災後すぐのやりとりの一部。情報の混乱や女性特有の怖さや備えについてなども/4月)

ここみちゃんと一緒に活動していた頃はまだ彼女も大学生で、とても可愛らしいふわふわとした印象の強い女の子でした。そのここみちゃんが、いざ地震が起きたときにはこんなにも頼もしく状況判断をして、フェーズに合わせた自分の役割を全うしようとしてくれるということ。「ふつうの女子大生」である彼女の頼もしさには心底驚き、尊敬し、防災ガールのメンバーの持つ芯の強さに本当に心を打たれました。

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(ここみちゃんが避難していた避難所の様子/4月)

 

わたしたちは専門家の集団ではありません。できることはごくごく小さく、微力だと思っています。メンバーの居住地はバラバラで、当時ここみちゃんとは直接顔を合わせたことさえありませんでした。
それでもあのとき、わたしたちは確かに繋がっていた。

メンバーが全国各地にいて、それぞれがある程度のリテラシーと防災知識を持ち、ふだんから防災というものに触れる機会が多いというだけの、至ってふつうの若者たち。そんな「防災ガール」という特殊なチームだったからこそ、あの時の細やかな連携がとれたのではないかなと思っています。

 


(ここみちゃんからのリアルタイムな情報を受けて発信したツイート/4月)

 

 

発災当時を振り返って、あのとき困っていたこと

――団体として活動支援金を使った熊本支援の最終回ということで、今回はここみちゃんにも話を聞けたらなと思っています。元気そうでよかった。あの時は本当にありがとう。

ここみ:いえ、あれくらいしかできなくてすみませんでした。こうしてお話できて嬉しいです。わたしなんかでよければ何でも聞いてください!

 

――ここみちゃんの震災当時の動きは記事にさせてもらったのだけれど、あの時困っていたことをもう一度教えてくれますか?

ここみ:はい。大きく分けると、情報が絶たれてしまったこと、トイレ、衛生面がありました。ラジオをふだんから使うようにしたり備えておくことは大事だなと思いましたし、トイレに関してはやはり水の問題があって使えなくなってしまうと大変でした。

衛生面に関してはわたし自身というよりも熊本市西区の断水が多かった地域にいた友人にきいた話として、銭湯やコインランドリーには行列ができ何時間も並ばないと入れず、もしくは数日に1回の頻度でしか使うことができなかったそうで、女の子としては辛いなと思いました。

――なるほど。他には何か、女性ならではの困りごとって覚えていますか?

ここみ:これも避難所で見たことで直接わたしは感じていないんですが、やっぱり小さなお子さんを連れているお母さんたちは避難所で肩身が狭いのかなという気がしました。お子さんが泣くと外に連れてあやしている姿を何度も目にしたので…。集団の場所での暮らしで気を使って、余計に疲れてしまいそうだなと心配でした。

――確かにそれは大変そうだね…。食事なんかはどうでしたか?

ここみ:やっぱりパンやお菓子、カップ麺だけといった食事に偏りがちなので、震災のストレスも加わって肌が荒れた・体重が増えたといった話を聞きました。野菜や果物が食べたいという声を阿蘇で被災した友人や益城町の近くで被災した親戚が言っていたのを覚えています。

――そうだったね。それを教えてもらって、第二弾の支援は栄養がとれるジュースバーにしようと決めたんだった。避難所の人にたくさん喜んでもらえて、栄養士さんも嬉しいと言ってくれたっけなぁ。あの頃は避難所にも大勢の人がいて、徹夜続きの職員の方もまだまだいらっしゃったよね。

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(第二回熊本支援、ジュースバーの様子)

 

震災から5ヶ月、リアルな熊本市内の「今」

――わたしたちは阿蘇や益城町に継続的に足を運んでいるけれど、震災から5ヶ月が経った今、熊本市内の若者たちは震災のことをどう捉えているんだろう?

ここみ:熊本市内は、震災前の日常が戻ってきているように思います。わたしも学校の研究に戻れていますし、仕事や学校が再開していつも通りの日常が続いている印象です。自宅が全壊してしまって別のところへ引っ越した知り合いもいるし、アパートにヒビが入ってもそのまま暮らしている友人もいます。それぞれが震災と向き合って、それぞれ対応しているような気がします。

――「日常に戻った」というのは、何かそう感じるきっかけがあったりした?

ここみ:うーん、そうですね…。わたしの場合はやっぱり、学校が再開したときでしょうか。5月のGW明けから再開して、そこから元に戻っていったような感じです。お仕事をしている人たちは震災後すぐ仕事に戻っているようだったので、もっと早かったのかもしれないし遅かったのかもしれません。看護師の友達は、本当はまだ研修中なのに現場での動きと同じようなことをしなければならなくなって大変だったと言っていました。

――なるほど。日常に戻ってからはどんな感じ?

ここみ:正直、日常に戻ったから震災のことを忘れかけているのが事実かなと思います。実際わたしもその一人かもしれません。熊本市内にいると、阿蘇や益城町の方へ足を運ぶこともほとんどありませんし、車もない学生なんて余計に移動はしようとしません。熊本城が崩れてしまって悲しいねという声はあるかもしれませんが、市内にいると震災のことを意識しないくらいには元通りになっているので、ほとんどもう誰も口にしなくなっています。

でも、やっぱり今でも余震があると「怖い」「もう揺れないでほしい」といった声をSNSでたくさん見かけるし、わたし自身も身構えてしまいます。誰しも“また地震がくるかもしれない”といった恐怖心は持っていて、「またくるかも」と考えて備える人、「私たちにできることはないか」と思い行動を起こす人が増えたのは事実ですし、震災が来る前よりは若い人たちの防災意識は上がったと思います。

 

同じ「熊本」でも届かない益城町や阿蘇の現状

――益城町や阿蘇ではまだボランティアが動いていたりもするけれど、そういったところに参加したという子は近くにいたりする?

ここみ:知り合いで、崇城大学のボランティアビレッジに参加している子が一人います。でもその子以外にはあまり聞かないし、わたし自身も行ったことはありません。

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(崇城大学敷地内にあるボランティアビレッジ/6月頃の様子)

――一部の人はぐっと参加しているけれど、大多数はそんなにという感じだね。そもそも情報は届いている?

ここみ:一応、わたしが通っている熊本県立大学では学内メールで地域連携研究推進センターから「益城町未来特区」への参加者募集の案内が定期的に届きます。単位互換の大学コンソーシアムのプログラムの一環のようで、益城町や熊本市内と場所も内容も変えながらワークショップをしたりカフェをしたりしているようです。ただ、それ以外の情報は正直ほとんど手に入りません。自分からつてをたどったり問合せたりしないと、ボランティアの募集情報も特に知らないままです。

――それは結構ショックな現状だなぁ…。たとえばここみちゃんなら、どんなところに・どんな風に情報が載っていたら参加してみようかなと思えるだろう?

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(避難所の中での情報掲示/5月頃)

ここみ:わたしは、知り合いからの情報が一番信頼できるかなと思ってしまいます。あとはやっぱり「参加条件や日程や内容が整理されて明示されているか?」というところですね。たとえば一日だけでも大丈夫でわたしでもできそうな内容であれば、授業やバイトが無い日に行ってみようとわたしだったら思えます。でも、そういうことに関心のない子たちだったらどうかなぁ…。知り合いのFacebookとかTwitterとか、SNSからの情報は目に入りやすいかなとも思います。

――自分でもできそうな内容っていうのは具体的にどんなイメージ?

ここみ:やっぱり、わかりやすく「学生ボランティア募集」と書いてくれていたら参加しやすいです。学生でも行って大丈夫なんだなと思えるので、安心できます。

更新されない「被災地」の姿

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(益城町近くの小国町からの景色/9月)

――益城町や阿蘇の情報って、市内にいるとそんなに入ってこないものなの?

ここみ:うーん…そうですね。わたしはこの前SNSに友人が鍋ヶ滝の写真をアップしているのを見て、「もう阿蘇って行けるんだ!」って知ってこの前行ってきたんですけど、本当にそんなレベルの認識です。

――えぇ!?それはすごいな…。そんなに情報が届かないんだね。

ここみ:ニュースで特集をやっていたりはするんですが、一人暮らしで学生だとテレビもあまり見ないので、本当に意識に入ってこないです。たとえば震災直後の「阿蘇大橋が落ちちゃって通れない」という情報だけが残っていて、そこからは更新されていない…みたいな状態ですかね。

――そうかぁ…。少なくとも「被害が大きかった」という意識はある阿蘇とか益城町にも足を運ばないのはどうしてだろう。

ここみ:やっぱり遠いし、交通規制もかかっていて行けるのかもあまり分かっていないし、行く手段も無いからですかね…。市内ではいつも通りの生活も戻ってきているので、なかなかそちらへ足を運ぶ時間のない人もいるかもしれません。あとは観光でお友達を連れていくということはあっても、情報を知らないとまだ行けないと思いこんでいる人もいるかもしれませんね…。

――ちなみに阿蘇山への道が開通したって知ってた?

ここみ:えっ!そうなんですか?知らなかったです…。

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(ロープウェーのりばも火山規制がなければ利用可能になった阿蘇山/9月)

――まだ一本だけだけれど、9月16日から開通されていて、今回の滞在中にロープウェーのところまでわたしたちも行ってきたよ。景色も綺麗だし、お土産屋さんも再開しているし、機会があったらぜひ行ってみて。(笑)

ここみ:はい。阿蘇や益城町について、もう少し情報をキャッチできるようになればいいなって思いました。

――阿蘇いいところだしね。県外のわたしが熊本市民にオススメするって変な構図だけど、ぜひぜひ。(笑)

ここみ:ありがとうございます。(笑)

 

今必要なこと、考えたいこと。

発災当時、彼女が担ってくれた現地のリアルタイムな情報発信は多くの方に届き、「あの情報は有り難かった」等のお声をいただくこともありました。わたしたち県外の者としても、とてもわかりやすく理解や想像ができてフェーズに合わせた情報発信を選ぶための一助となりました。
被災地支援のために現地へ足を運ぶとなると、やはりどうしても被害の大きかった場所や支援の手が必要な場所に行くことが多いと思います。

けれど今回のような局地的な地震では、こんな風に県内であっても風化のスピードが異なるということが往々にして起こります。兵庫県神戸市の阪神・淡路大震災の頃もそうだったように、「渦中にいる人」と「そうではない人」にとって、たとえそれが同じ市内であろうと同じ県内であろうと、記憶への残り方というものもまったく違ってくるものです。
今回ここみちゃんからリアルな現地の声を聴かせてもらい、本当にいろいろなことを考えました。

 

これまで何度か言われてきた「情報発信は本当に有難い」といった声の本当の意味も、ようやく理解ができたような気がします。
前を向いて進んでいくこと、日常に戻っていくことは決して悪いことではありません。

けれど、同じ県内のなかで少しも思い出されないという状態もなんだか不思議だし勿体ないなぁと思えてしまいます。
何が正解かはわかりません。

ただ、この記事を読んだ方にはほんの少しだけ、阿蘇や益城町のことについて意識を向けるようにしてみてもらえたら嬉しいなと思います。ボランティアに行けとか、復興支援をしろとは言いません。ただ確実に動き出している復興の段階を「知る」ということ、それを周りに「知らせる」ということ。それが一番大切な「支え」になっていくのかもしれないなとも思うのです。
情報発信の仕方というものは本当に難しいけれど、本当に重要な役割を持つ。そのことを、発災時の4月とそこから5ヶ月後の今、わたしたちはここみちゃんから教わったような気がします。
ここみちゃん、敢えて包み隠さず本音を話してくれてありがとう。

彼女のリアルな声が、今回もまた何かを動かしていくことを願っています。

 

【「今」を知るのに役立つWEBツール】

▽九州観光復興ポータルサイト「今こそ九州へ」
http://www.welcomekyushu.jp/kyushufukkou/
写真を多く用いているページが目を惹きます。
インタビュー等もありますが、ページ中段の「九州の観光掲示板」は要チェック。
開通したルートや復旧した観光スポットについての情報がゲットできます。

▽熊本県広報課「気になる!くまもと」(Facebook)
https://www.facebook.com/kininaru.kumamoto/
熊本でのイベント情報が盛りだくさん。
「こんなイベントもあるんだ!」と知るきっかけになるページです。

▽西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/keyword/tl/116
タイムリーなニュースを時系列で表示してくれるページ構成になっています。
新聞をとっていない方もこのページを見るとニュースがチェックしやすいかもしれません。

▽朝日新聞デジタル 特集:熊本地震
http://www.asahi.com/special/kumamoto-earthquake/
こちらもニュースをアーカイブしていく特設ページ。
お気に入り登録をしておくと、離れた場所でも「今」を追いかけるのに役立ちそうです。

▽熊本日日新聞社公式ツイッター
@KUMANICHIs
地元密着型の新聞社さんだからこそ、ローカルな話題を逐一発信しています。
ツイッターなら日常的に見る習慣があるという方はフォローをしてみては。

 

【ボランティア情報を知るために役立つWEBツール】

▽崇城大学ボランティアビレッジ(Facebook)
https://www.facebook.com/volunteervillage/
わたしたちも利用したボランティアビレッジのFacebook。
更新頻度も高く、ボランティア募集についても細やかに発信しています。

▽益城町災害ボランティアセンター(Facebook)
https://www.facebook.com/kumamoto.mashiki/
月に一度予定の投稿があり、それを見て当日行けば参加受付してもらえる模様。
益城町の近くにお住まいの方などで予定が見えにくい方は参加しやすいかもしれません。

 

 

【今だからこそ備える】

女性のための「災害に備えておきたいものリスト」

女性のための「災害に備えておきたいものリスト」

「災害時に情報収集できるWEBソースまとめ」

災害時に情報収集できるWEBソースまとめ(2016年版)

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