【熊本のいま vol.10】そのとき、ママたちは‥〜「ママたちの熊本地震」宮崎氏インタビュー〜

2度も震度7の揺れに襲われた熊本地震。
大きな地震が2回も発生するという「想定外」の地震はあらゆるものを奪いました。

しかし、あれから1年。
あの日のことを語り継ぎ、次の災害へと活かしてほしいとコラムにまとめ続けている女性がいます。

 

今回は、自身も熊本在住で「ママたちの熊本地震」の立ち上げた宮崎さんにお話を伺いました。

 

 

―宮崎さんは南阿蘇村にお住まいなんですよね?

はい、現在は熊本県南阿蘇村に住んでいます。元々は熊本県阿蘇市の出身なんです。これまで熊本や東京でいろいろな職種を経験してきたんですが30歳ぐらいのときに熊本に戻って結婚して、現在はフリーランスのライターとして活動をしています。

家族は夫と5歳の娘との三人暮らしです。

 

―防災ガールは阿蘇に何度も行っているので何だか親近感があります。すごくいいところですよね。

緑が濃いでしょ?来てくれてありがとうございます。今後も来てください!

 

(阿蘇の大観峰にて。2016月9月)

 

―早速になってしまいますが、地震が起きたときはどのように過ごされていたのですか?

14日のとき(前震)は、自宅アパートにいました。このへんはそんなに被害はなくて、棚に無造作に置いてあるものがちょっと落ちる程度でした。でも、ただ事ではないと感じ、テレビをつけたら益城町が大変なことになっていると知って、普通の地震ではないよねと思いました。住んでいたアパートは倒壊が不安だったので、その日は近所にある義実家に泊まることにしました。

 

16日の本震のときは、天井が落ちてくるんじゃないかという揺れで、気づいたときにはベッドから落ちていました。家のなかのものはもうグチャグチャで、何一つ地震前の状態でないように思えました。余震も続いていて、家のなかにいるのが怖かったので4泊くらい車中泊をすることに。

そのあと、福岡に住んでいる妹の家に避難することにしました。その話をもらっときはホッとして、避難することにしました。

 

―車中泊のようす、コラムでも拝見しましたが私も自分だったらすごく怖いだろうなと思いました

そうですね、とにかく怖かったというのが一番ですね。
寝ていても暴漢がこないかと不安でした。

 

―そのときお子さんの様子はいかがでしたか?

うちの子は大丈夫でした。すやすや寝てくれたのでそれは本当によかったです。

 

―ペットがいたり、小さいこどもがいて車中泊を選んだひともいると聞きます。

私がインタビューしたなかでも、子どもがいるので車中泊を選んだかたがいらっしゃいました、避難所に行くのなら車中泊を選ぶという人もいましたね。

 

 

―宮崎さんの周りでは車中泊選んでいるひとは多かったですか?

多かったですね。避難所に行かない人はほとんど車中泊をしていた印象ですね。

でも車中泊は悪いことばかりではないんです。ガソリンさえ入っていれば、エアコンをつけて暖かく過ごせるし、なかにはテレビも見れたりする車もあるので。あと車の中に非常の持ち出し袋も置くことができますね。

ただ、避難所に行かないことで、行政から見えなくなってしまって、支援の手が届かなくなっていたのは課題だと思いました。

 

―たしかにそうですよね。私たちも避難所を訪れたのですが、避難所はご飯をはじめ、様々なケアが提供されていました。

そういった支援の情報を受け取れなかったり、行政の手が届かないことは難しい問題ですね。

 

―宮崎さんはご飯はどうされていたんですか?

家でつくっていました。プロパンガスなのでガスを使うことができたんです。
あと、このへんは湧き水が豊富に湧いていたので、水を汲んで大きな漬物樽に溜めて使うかんじでした。なので、洗い物は大変でしたが水の心配がなかったので土鍋でご飯を炊いたりしていましたね。

 

 

―水とガスがあるのは心強いですよね…。お子さんの様子はどうでしたか?

うちの子は地震のことを怖いと言ったりすることはなかったけれど、ママにインタビューしたところ、一人でトイレに行けない子や「地震」という言葉に敏感になってしまう子もいたようです。そのときは「大丈夫だよ大丈夫だよ」といって安心させたり、「地震」という直接的な言葉は使わずに話したりしたそうです。

あと、まずお母さんたち自身の健康が大切だなあって思いました。

インタビューしていても、緊張の糸が解けるころ学校がはじまって少し落ち着いてきたあたりから、めまいがしてきたなど体調不良を訴えるかたが複数いました。私も地震がきっかけでホルモンバランスが悪くなってしまったのですが、そのときは地震の影響だなんて全然気づかなくて…。あとから考えてみたらストレスが原因だったんです。

一見健康そうに見える大人でも、無意識に負荷がかかっているのでケアしてあげないと健康に支障をきたすということは、全国のママたちに伝えたいです。

それと、旦那さんが地震の対応があって職場から帰ってこなかったり、消防団の活動をしていて男性が不在なおうちも多かったです。 お父さんが不在がちで大変な思いをしていたのに、さらに子どもがおたふく風邪になって、一人で参ってしまったというお母さんの声も聞きました。

 

―外に男の人が出てしまって、お母さんが家を守らないといけない状況になるわけですね。

そうなんです。だから、お母さん方には、自分と子供で過ごさないといけなくなるかもというのは考えておいてほしいです。

 

 

地震の翌朝、口にしたのは家族の好物だったチョコレート

―経験をもとに、こんなものを備えておくといいというものはありますか?

バッグですね。携帯は枕元に置いていたのですが、いつも使っているバッグは無造作に置いていました。

地震がおきて、バッグを探すのが大変だったんです。なので、ベッドの近くにバッグを置いておいたほうがいいなと思いました。

それから、ヒアリングをさせていただいた方のなかには、逃げるときにメガネが見つからなかったり、車のキーが物に挟まって取り出せなかったりという方もいました。毎日使うものは取りだせるようにしておいたほうがいいですね。

あとは履物。物が散乱して割れた窓ガラスや食器で一苦労なので、スリッパなり靴などを枕元に置いておいたほうがいいと思います。

 

―ちなみに、非常食の備蓄とかはしていたんですか?

地震がくるまでは全然していなかったんです…。

ただチョコレートだけは、家族の好物だったのでちょっと多めに買っておいたんです。
地震の翌朝一番最初に食べたのはチョコレートだったし、娘がお腹空いたといった時にもチョコレートを食べさせることができて便利でした。

なので、好きなお菓子をちょっと多めに置いておくのはすごくいいと思います。

いまは日常的にストックできるように食べ慣れたものを多めに買っておいて、普段どおり食べながら、買い足していくというのを実践しています。

 

それとお米もあってよかったと思います。研ぐ必要のない無洗米がいいとおっしゃるかたもいましたね。

<参考記事>

今日からはじめよう!ちょい買い足しで「日常備蓄」

 

できることをやる、そうしたらあとは楽観的に。

―宮崎さんは現在「ママたちの熊本地震」という活動をされていますが、どんなキッカケではじめられたのですか?

私自身、旦那が地震対応のため仕事が忙しく、娘とふたりと不安を抱えながら過ごしていました。

 

うちの子は4歳だけど、ミルクを飲んでいるような赤ちゃんを抱えたお母さんたち、被害が多かった地域のお母さんたちはどうやって過ごされているのかなというのが最初の疑問でした。

自分が役に立てることはないかと考えていたところ、ライターという仕事をしていることもあり体験談を聞いて文章にまとめることなら出来るんじゃないかと思い、落ち着いてきたころにママ友を通じて少しずつ聞き取りの活動をはじめました。

 

「この貴重な話、他のお母さんにとって防災の参考になるのではないか」と思っていたら、パセリという会社が協力してくれることになり、サイトで公開することが実現したんです。

 

―お母さんたちからはどんな感想が聞かれましたか?

「忘れるのが一番だけど、1回話しておいてよかった」とか、「役に立つと思うのでがんばってください」と仰ってくれて、そういう声を聞くとやっていてよかったなと思いますね。

 

―サイトには報道ではわからない、お母さんたちの奮闘が感じられます。心に残っている話はありますか?

お母さんたちの話はどれも心にのこっているのですが、庭で3ヶ月の子を沐浴したという人がいましたね。生後数週間だったので公衆浴場に入れずカセットコンロでお湯を沸かして入られたという話を聞いたときは衝撃的でした。

あとは逃げるとき、気が動転していて子供を逆さまにして運んでいた、気がついたら頭が下になっていたというお母さんもいました。

 

お風呂に入れなくて、尿路感染症や膀胱炎になってしまったという声も聞かれたので、衛生上の問題も課題だなと思いました。

 

—熊本地震から1年。がらっと生活が変わってしまったからこそ、その時々での悩みごとも増えていると聞きます。「ママたちの熊本地震」にも掲載されていた通学問題も確かにと思いました。

そうですね、私の娘はまだ小さいのでまだ緊迫感は薄いですが、今後どうするんだろうなと漠然と思っています。遠くの高校にも出すことを考えると…、こわいですよね、何かあったときに離れ離れになりそうで…。

でも不安なことはたくさんあるんですよ、阿蘇山の噴火とか。だから、できることをやったら楽観的にするようにしています。そしてそのできることをやるのが重要だと思うんです。そうしないと楽観的になれないから。

 

 —そうですよね…。私たちも、何か特別なことをするんじゃなくて日常のなかでできることを増やして、そうして行動しているひとを少しでも増やしていけたらなと思っています。

これからも熊本に引き続き足を運びながら、防災に向き合っていけたらと思っています。今回は貴重なお話ありがとうございました。

 

 

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ママたちの熊本地震」で紹介されているエピソードには、

「暗闇の中、子どもを逆さまに持って運んでしまった」
「地震後は保育園などが休みになり子連れ出勤の可能性も」
「ヘッドライトは子供を抱えて逃げるのにも便利」など、当事者ならではの声…。そして体験談だけではなく、その経験から導き出された切実な「教訓」が心に残ります。

いまはまだ子どもはいないけれど、いつか親になったときに絶対この声を学びにしようと思いました。そして、いま何か起きたとき、周りのお母さんはこんなことに困っているのではないか…そんな視点を養えるサイトでした。ぜひみなさまもゆっくりとご覧くださいね。

なお、ママたちの熊本地震では現在体験談を語ってくれる人を募集中とのことです。お心当たりのあるかたはぜひお問い合わせください。

 

ママたちの熊本地震

https://www.mamakuma.jp/

 

 

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【熊本のいま vol.6 】「今在るものを良くしていく」ということ~門前町商店街わきゃもん会 杉本真也氏・宮本博史氏インタビュー~

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Writing by:まなみ

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