【熊本のいま vol.12】「熊本は元気ばい!」観光のいま

約9ヶ月前、まだ暑い夏の頃にボランティア入りをしていたわたしたち。
その際に復興割を使って宿泊させていただいた阿蘇の老舗旅館「蘇山郷」へ、今回久しぶりに泊まらせていただくことができました。

わたし個人としては初めての熊本入りがこの夏のボランティアだったこともあり、感慨深い気持ちと心地よいドキドキ感を抱きながら蘇山郷の「今」を拝見させていただきました。

 


9ヶ月前と変わらず出迎えてくださった三代目館主・永田祐介さん(右)

 

昨夏に訪れたときも十分素敵なお宿だったのですが、今回は以前に比べ従業員さんの数も増え、空間の密度が上がりエネルギーが循環してとても賑やかになっている印象を受けました。
震災から一年の節目ということもあってお忙しい中、とても丁寧にもてなしてくださった皆さん。

 


蘇山郷に到着すると、まずはお抹茶がいただけます。

 

震災から一年を報じるテレビ番組でちょうど蘇山郷も取り上げられているなか、相変わらず素敵な個室温泉を楽しんだりと少しゆったりした時間を満喫しました。

 


相変わらず最高にリラックスできる個室温泉。景色も素晴らしいです。

 

地震から一年、「夢」の星空を手に入れた宿

以前にもインタビューにご協力いただいた三代目館主の永田祐介さんに、今回は敢えてインタビューという形はとらず、「友人」「知人」という”一人と一人”の関係性でお話を聞かせていただきました。震災から一年という節目ももちろんありますが、今回はただただ「もう一度会いたい」「熊本に行きたい」という思いがあっての熊本入りでもあったからです。

 

▼2016年のインタビューはこちら

【熊本のいま vol.1】災害の度によみがえる宿〜 “蘇山郷”館主永田祐介氏インタビュー~

 

 


気さくなバーテンダーの方にリクエストして作ってもらったカクテルは鮮やかなブルー。

 

星空と大きな月がいっぱいに広がるルーフトップバーで美味しいお酒をいただきつつ、いろいろなお話をうかがいました。

 

一年前のあの日、すべてがぐちゃぐちゃになって壊れてしまったこと。

停電して真っ暗な阿蘇を見てどうしようかと不安になったこと。

けれど同時に、満天の星空の美しさに気がついたこと。

地震をきっかけに気づけた阿蘇の魅力を活かしたいと、「ルーフトップバーを作る」という新たな夢を抱いたこと。

その夢に向かって、時には敵を作りながらも走り、夢中になって進むなか、息子さんがその背中をしっかり見ていてくれたと知れたこと。

そしてこれから先一年の、新たな野望。

トップランナーとして走り続ける。まだ誰もやったことのないことをやる。

 

そこには時に誹謗中傷や、望まない軋轢が生じることもあるものです。それでも誰かが最初の一歩を踏まなければ、停滞している状況は変わらない。希望は生まれない。
だからこそ、蘇山郷の三代目館主として、永田さんは阿蘇をひとつにするための取り組みをどんどん行なっていくといいます。

 

1年前の決意がカタチになった蘇山郷のルーフトップバー

 

震災から一年が経過してもまだ、道路の復旧目処が立たずに資材を搬入さえできず苦しんでいる仲間たちがいる。そんな中で、今の自分にできる「道を拓くこと」を粛々と行ない、後に続く人たちにどんどん経験やノウハウを共有していきたい。

そんな想いを聞きながら、ルーフトップバーでの夜は静かに明けて行きました。

 

 

 

 

夏にはバーから大輪の花火が見えるそう。これは行くしかない…と再訪を決意しつつ、翌朝も宿の中を少し見学してから、蘇山郷を後にしました。


夏に来た時にはここで写真も撮らせて頂きました。庭の池だけは、まだ水が枯れてしまっているそうです。

 

力強く前を向く永田さんと別れてから、この日は阿蘇の美しい自然を満喫すべく車を走らせました。

 

 

まずは有名な鍋ヶ滝!

 

 

とにかく水がきれいで、壮大です。観光客も親子からカップル、外国人の方までさまざま。
地震の影響で一時立ち入り禁止になっていましたが、今は滝の裏にも入ることができるようになっています。

 

水のエネルギーとマイナスイオン。
熊本に来るたびに、自然の力強さと美しさに驚かされます。

 

鍋ヶ滝を見て心洗われたあとには阿蘇の濃厚なミルクをぜひ。飲み物からアイスまで、売店で購入できます。

 

 

続いて向かったのは熊野座神社!

ついた途端に思わず「おぉ…」と声がもれてしまうほど、神秘的な場所。
困難に立ち向かうのによいとされる神社だそうで、長い長い階段を登っての参拝となります。

 

 


途中、地震で崩れてしまったり歪んでしまっている階段も多数見かけました。

 


ぽっかり穴のあいた岩肌。触れると困難に立ち向かう力を得られるという伝説があるそうです。

 

自然の美しさとともに厳しさも感じ取りながら、三人で無事に頂上まで登り、困難に立ち向かう気持ちを新たに注入。防災ガールの活動もさらに頑張ろうと気合いを入れました。

 

また、この日の夜には東海大学での追悼式も行われ、わたしたちも学生さんや関係者の皆さまのご厚意のもと参加させていただくことができました。

崩れた建物があちこちにあった南阿蘇村に足を運ぶと、驚くほど瓦礫は整理され撤去され、更地になっている場所があちこちに見受けられるようになっていました。

 

今は熊本市内にバラバラに暮らす学生さんたちは、口を揃えて「南阿蘇に住んでいる頃の方が楽しかった」と言います。同じ志を持ち、夢を持ち、切磋琢磨する友人たちがすぐそこにいた南阿蘇村。あたたかいご飯を作って「おかえり」と言ってくれて、明るく厳しく世話を焼いてくれた大家さんばかりだった南阿蘇村。

友達や大家さんのことを想い、あの頃の暮らしやあの日を想い、真っ暗な中で静かに灯篭に灯をともし、追悼は行われました。

 

学生さんから聞いた話では、やはりこの一年の間にいろいろな取材を受ける機会があり、その度に悩み、苦しむことも多かったそうです。まだ話したくないこと、踏み入られたくない思い出、迷惑をかけたくない大切な人たちのところにまでついてきてしまう「報道」の目。

全国に発信してくれることは本当に嬉しい。けれどどうか、そこに「心」があることを忘れないでほしい…。そんな切実な想いを聞き、考えさせられる夜でもありました。

 

 

一歩ずつ復興へ、「熊本は元気ばい」。

阿蘇の自然は本当にどの季節に行っても雄大な姿を見せてくれます。
まだ電車の運転が再開されていなかったりといった状況はあるものの、車があれば鍋ヶ滝や熊野座神社をはじめこんなに素敵な場所へもスイスイと行けてしまいます。
(今回わたしたちは熊本駅前のレンタカーで車を借りました!レンタカー屋さんはたくさんあるようです。)

途中立ち寄ったコンビニで、「一周年感謝セール 熊本は元気ばい!」といったキャンペーンの飾り付けを発見。ボランティア入りしていた頃は確か、「がまだせ熊本」の文字があちこちに貼ってありました。

 

まだまだ地震の爪痕が残る場所も、お家も、たくさんあります。
地震で人生が変わった人たちがたくさんいるのも事実です。
まだ彼ら彼女らの中で「地震」は終わっていないかもしれません。
だけど、どうかこの記事を読んでくださった皆さんには知っていてほしい。

 

「熊本は元気ばい!」

 

この言葉に込められている想いが、少しでも届きますように。

 

詳細情報

▼阿蘇内牧温泉 蘇山郷
http://www.sozankyo.jp/

▼鍋ヶ滝
https://www.welcomekyushu.jp/kyushu_now/kumamoto/28.html

▼熊野座神社
http://www.town.takamori.kumamoto.jp/kankomap/kanko/kamisikimikumanoimasujinja.html

 

Writing by:中西須瑞化

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