[生き抜く知恵]vol.5 介護

滋賀県長浜市のとある場所にある、生き抜く知恵の実験室WEEL。
ここでは日夜「生き抜く力」について考え、時にそれらを身につけるための実験やチャレンジや発信がおこなわれています。

「防災」って、きっとこれからの時代においては自然災害に対するだけのものじゃなく、人生そのものを生きていくための「生き抜く力」のことになる。そんな仮説のもと、生き抜く知恵を学んでいく暮らしの中で、特色あるゲストを招いての特別研修もおこなっています。

今回は、「介護」
わたしたちが学んだ生き抜く知恵を少し、ご紹介させてください。

 

生き抜く知恵のかけら

1.業界・個人の潜在的発展性を見つけ出す
2.見失いがちな「本当の課題」を見つめる
3.完全に振り切って失敗することも選択すると見えてくることがある

 

 

知恵の持ち主は秋本可愛さん

秋本可愛(あきもと かあい)

1990年生まれ。大学在学中に起業サークルに所属、大学卒業後に株式会社Join for Kaigoを設立。「介護から人の可能性を挑む」をミッションに掲げ、若者が介護に関心を持つきっかけや若者が活躍できる環境づくりに注力。超高齢社会を創造的に生きる次世代リーダーのコミュニティ「HEISEI KAIGO LEADERS」を運営。

 

秋本さんが取り組む課題は「介護」。介護にまつわる課題は誰もがよく耳にするものの、課題の根は深い。秋本さん曰く、介護の専門知識やスキルを学ぶ場所はすでにたくさんあるが、これからの時代や環境を考えた時に介護従事者が専門知識だけを学ぶだけでは足りないのではないか、という。

 

介護から人の可能性に挑む――

「潜在的発展性」を意味する「可能性」を介護で見出したい。ただ課題解決するのではなく、介護というものに潜在的な魅力を見出しそれを発展させてこそ、自分が福祉業界に挑む理由があると彼女は言う。

 

HEISEI KAIGO LEADERS
超高齢社会を創造的に生きる次世代リーダーのコミュニティ
http://heisei-kaigo-leaders.com/

 

 

解決できないとされてきた課題を解決する

 

介護は「人材が課題」だとずっと言われている

来たる2025年、この日本において37,7万人分の介護従事者が足りないということが既にわかっている。しかし、その必要性の反面、昨年2016年は「もっとも多くの介護施設が倒産した年」といわれている。倒産の理由に、人材不足の影響も大きい。求められているのに、人がいないから施設を開けることができない。介護福祉士になるための専門学校も定員の充足率は半分を切ってしまっているという現実がある。

秋本さんの取り組みは介護業界を横軸でつなぎ、さらにはその貴重な若手人材の受け皿となるようなプラットフォームとなっているため、そうした業界の実情に対する情報も集まりやすい。そんな中、介護・福祉という業界の中で活動を続けていてわかったのは、実は「足りない」とされてきた人材も、一部の人気の施設では十分に採用ができているという事実。秋本さんは、「その事実を業界全体で知っておくべきだ」と思いはじめたという。

看護やサービス業などどの業界でも人材不足という中で、介護業界も人材を確保するためにその戦いに勝っていかなくてはならない状況。コンビニが1日閉店していても他で補うことはできるかもしれないが、介護は1日休むと亡くなってしまう人がいる。人材の確保はどうしても重要な課題であり、急務でもあると秋本さんは言う。
しかし、介護業界の現状はと言えば、現場の人が人事も兼務するということも、採用に若手が関わるなんてタブーだという風潮も、まだまだ根深く残ってしまっている。

 

課題の本質は?もっと解決できることがあるのでは

秋本さんは介護の人材セミナーや、介護職を希望し就職活動をする人とのマッチングの場を企画した際に違和感とショックを覚えたという。その場は、介護施設側からこれから支援者になりたいと考える若手たちへの貴重なアピールの場であったのにもかかわらず、求人を募集する側の担当者たちの多数が、「自分の施設のアピール方法」を検討もせず、重視もせず、なんのこだわりもないポスターを展示をしていたのだそう。多くの施設が、「人材不足で人材を必要としている」のにも関わらず。
もちろん、ここに来ていた担当者たちを非難している訳ではない。問題の本質はもっと大きなところ、業界全体の課題がここに浮かび上がっていると秋本さんは感じたのだという。

 

「そもそも、介護の業界全体が人材不足だからしかたがない」。
そう業界や時代のせいにして、自分たち自身の現状や状況を俯瞰して見ることができていないのではないか。何かのせいにするよりも先に、「まだ自分たちにできること」があるのではないか。

このような事態は介護業界だけではなく、他業界や個々人にも当てはまることがある。いつでも課題は外ではなく中にある。介護の世界に身を置く自分たちが変わらなければ意味がないと思い、彼女は介護施設側へのそういった取り組みも始めている。

 

KAIGO HR
https://kaigohr.com/

 

 

それぞれがもっと自分らしく活躍できるはず

(“大変そう”というイメージとは真逆の雰囲気)

さらに秋本さんは、介護における同世代の支援者側がHAPPYではない状態に陥っている状況が多発しているのを目の当たりにしてきたという。介護に従事する人間は奉仕の精神を優先させなければならないというようなイメージや、人を助けたいという思いの強い人たちが集まる職柄であるということ、相手を大切に思う気持ちが強いからこそ、特に経験も少ない若手のスタッフはどうしても自分の幸福に対する優先度を下げた働き方をしてしまいやすい。そこで、まずは「支援者側」が自分を大切にでき、それぞれの課題や違和感をアクションに変えていく、”KAIGO MY PROJECT”という教育プログラムをたちあげた。

それぞれに「こうしていきたい」という思いはあれど、介護業界の中にある既存の空気感や年功序列、見えないルールが壁となり、そこから動き、形にすることまでたどり着ける若手というのは殆どいないという。秋本さんはそんな現状を変えようと、年齢に縛られず自分たちの思いを形にでき、その思いのプロジェクト化までサポートしていくという仕組みを作りはじめた。

「今いる支援者側にはもっと魅力があるし、それぞれ強みもあって可能性に溢れている」と語る秋本さん。彼女がそこを信じているからこそ、多くの人が彼女の周りに集まり、彼女を応援することで支援者側が強みを生かし可能性を実現に変えていく未来を形にしてほしいと、皆が彼女にその想いを託しているように感じる。

 

完全に振り切って失敗することを選択する

何を頑張ればいいかわからなかった時期はとても不安だった――

 

学生時代から起業をした彼女にとってここまでの道のりは簡単とはいいがたく、長く試行錯誤しながら走り続けてきた。クライアントも増え、ニーズも増え、コミュニティもできた今、「頑張るべきことはわかるけど、やらないといけないことに追われ、これからどんな未来を作るかなど視点を高めたアクションプランなどを考えきれる余裕がない」と言う。

ただ、それでも走り続けていけるのは、模索していた時代に掛けられたこの言葉が心にあるからだ。

「完全に振り切って失敗するのが怖いだけでしょう?」

 

彼女は今、何が成功するかもわからないが、それでもやらなければいけないことはたくさんあるという。それにはまだまだ人手も資金も足りない。「足りないこと」なんていくらだってある。
ただ、秋本さんはこの課題に気づいてしまい、そしてその課題解決の行動を切実に求めてくれる人がいる。自分の起こす行動で、幸せになってくれる人がいる。

だから、止まっていられない。失敗したっていい、振り切ろう。

目の前に解決すべき課題を見つけてしまったら見て見ぬ振りができない責任感。そして何よりも強い信念をもつ彼女から学ぶべき生き抜く知恵は、これからの時代の働き方・生き方の重要なエッセンスとなるのではないかと感じた。

 

「まだ、自分たちにできることはないか」。
この問いを、常に自問できる人間であれるだろうか。

 

 

他にも生き抜く知恵の実験室WEELでは動画配信など様々な取り組みを滋賀県長浜市さんと行なっております!ぜひ下の画像をクリックしてご覧ください!

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